内部通報窓口運用のポイント
内部通報窓口を設置運営するに当たっては以下の6つのポイントをおさえる必要があります。
内部通報制度の整備・運用に当たっては、「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン(平成28年12月9日 消費者庁)」(以下「内部通報ガイドライン」といいます。)が公表されているところですが、当該ガイドラインによれば、実効的な内部通報制度を作るためには、
1.内部規定の策定
2.経営陣から独立した通報窓口を設置・運営
3.通報者に関する秘密保持の徹底
4.通報後の事実確認・調査・処分の検討
5.フォロー
6.研修の実施
が不可欠になります。
以下それぞれについて詳述します。
1 内部規定の策定

また、通報内容にかかる不正の事実、パワハラの事実が確認できた場合、被通報者に対する懲戒処分をするには、現在の就業規則の懲戒規定を見直す必要もあります。
たきざわ法律事務所では、「クライアント企業の役員・従業員含め皆が誇りをもつ組織、皆が幸せになれる組織の構築を実現する」という理念の下、内部通報規定のご相談を承っております。詳しくは内部通報規定の作成をご確認ください。
2 経営陣から独立した通報窓口の設置・運営
(1)経営陣からの独立性
不正やパワハラ・セクハラは経営陣や経営幹部が関与して行われることが多く、そのような不正も通報できるようにするためには、通報窓口が経営陣から独立している必要があります。
(2)利益相反関係の排除
内部通報制度の信頼性及び実効性を確保するため、受付担当者、調査担当者その他通報対応に従事する方と被通報者(その者が法令違反、パワハラを行った、行っていると通報された者のことです。)は、自らが関係する通報事案の調査・是正措置等に関与してはいけません。当たり前のことですが、企業にとってあまり通報窓口の設置運営に人員を割くことができないことから、通報窓口の担当者が法令違反、パワハラを行っている張本人である、という事態も考えられます。
内部通報ガイドラインでも、以下のとおり、通報窓口を企業の外部の法律事務所に設置することを推奨しています。
(内部通報ガイドライン)たきざわ法律事務所では、「クライアント企業の役員・従業員含め皆が誇りをもつ組織、皆が幸せになれる組織の構築を実現する」という理念の下、内部通報窓口の設置運用のご依頼を承っております。
「通報者の匿名性を確保するとともに、経営上のリスクに係る情報を把握する機会を拡充するため、可能な限り事業者の外部(例えば、法律事務所や民間の専門機関等)に通報窓口を整備することが適当である。」
たきざわ法律事務所でのサービス内容については内部通報窓口の設置・調査をご確認ください。
3 通報者に関する秘密保持の徹底
(1)秘密保持の徹底
内部通報制窓口の運営において最も重要なのは秘密保持の徹底です。
通報者の所属、氏名等が職場内に漏れることは、それ自体が通報者に対する重大な不利益になり、内部通報窓口への信頼性を大きく損なうことになります。そのため、通報者が安心して通報することができるようにするために、厳格な秘密保持が求められています。
そして、①通報者の氏名を秘密にすること、だけでなく、②通報があったことも秘密にする必要があります。通報者の氏名を秘密にしていても、通報内容について調査をする際に、通報による調査であることを調査対象者に伝えると、調査対象者が通報者を推測できてしまう危険があるからです。
内部通報ガイドラインでも同様のことが規定されています。
(内部通報ガイドライン)
「通報者の所属・氏名等や当該事案が通報を端緒とするものであること等、通報者の特定につながり得る情報は、通報者の書面や電子メール等による明示の同意がない限り、情報共有が許される範囲外には開示しない」
(2)開示範囲を必要最小限にすること
さらに、調査・是正措置を行うため、経営幹部や調査協力者等に対して通報者の特定につながり得る情報を伝達することが真に不可欠である場合には、通報者の同意に加えて、ⅰ伝達する範囲を必要最小限にするⅱ伝達する相手にはあらかじめ秘密保持を誓約させるⅲ情報の漏洩が懲戒処分等の対象となる旨の注意喚起をすることが必要となります。
4 通報後の事実確認・調査・処分の検討
(1)調査・是正措置の実効性の確保
・調査・是正措置の実行性を確保するため、担当部署には社内における調査権限と独立性が与えられている必要があります。
・調査の結果、法令違反等が明らかになった場合には、速やかに是正措置及び再発防止策を講じるとともに、必要に応じて関係者の社内処分を検討する必要があります。
(2)調査・是正措置に対する通報者への通知
・調査中は調査の進捗状況について是正措置後は完了後速やかに、被通報者や調査協力者等の信用、名誉及びプライバシー等に配慮しつつ報告する必要があります。
・通報者や調査協力者(通報者等)の協力がコンプライアンス経営の推進に寄与した場合には、通報者等に対し、経営トップからの感謝を伝える等、組織への貢献を正当に評価する
必要があります。なお、窓口担当者を介して伝達する必要があります。
たきざわ法律事務所でのサービス内容については内部通報窓口の設置・調査をご確認ください。
5 通報者へのフォロー
・通報者に対し、通報を行ったことを理由とした不利益な取扱いがなされていなか確認する等、通報者の保護に係る十分なフォローアップを実施することが必要です。
・また、勇気を出して通報したにもかかわらず、通報がどのように処理されているのかが不明であれば、従業員としては「通報してもうやむやにされるだけではないか」との不信感を抱くことになります。そのため、通報に対して、事実確認調査の進捗状況や、(事実が確認できた場合の)被通報者の処分内容等を報告することが必要になります。
6 研修
・実効性の高い内部通報制度を運用するために、通報者対応、調査、事実認定、是正措置、再発防止、適正手続の確保、情報管理、周知啓発等に係る担当者の知識スキルの向上のための十分な教育・研修が必要になります。
・また、従業員に内部通報窓口の存在を周知するとともに、窓口の使い方や、懸念点(特に通報することで通報者が特定されるのではないか、不利益な扱いがなされるのではないか)に対して十分に説明する必要があります。
たきざわ法律事務所では、「クライアント企業の役員・従業員含め皆が誇りをもつ組織、皆が幸せになれる組織の構築を実現する」という理念の下、内部通報窓口の設置に当たっての企業内研修のご相談も承っております。詳しくは企業内研修の実施をご確認ください。